第12話 母との邂逅第12話 母との邂逅使徒の腕を蹴り返した反動でエントリープラグ内に落ち込んだシンジは、とっさにレイを庇うように腕の中に抱きかかえた。 衝突のショックに身構えた瞬間、シンジはレイと共に、プラグ内に溜まっている液体の中に落ちていた。 液体によって衝撃が緩和されてほっとしたシンジの頭に、強烈に干渉してくるモノがあった。 そのあまりの意志の強さにシンジの意識は薄れていった。 ふと目が覚めるとそこは懐かしい感じのする古い家。 何気なく目に入った自分の身体を見て流石のシンジも驚いた。 「小さくなってる・・・。」 こんな小さな頃、まだ辛い目に会わなかった昔。 そう、その頃住んでいた家がここだった。 そして、あの頃は優しいお母さんが・・・・。 急に現れた気配に驚き、飛びのきかけたシンジに優しく微笑み掛けるこの笑顔の女性は! 「母さん!!!」 それは、シンジが求めてやまない優しい母の姿だった。 新世紀エヴァンゲリオン(8) 「母さん!母さん!!母さん!!!!!!」 泣きながら抱きつき、母の手にくるまれて・・・・・・・・・眠りに落ちようとする意識を辛うじて持ちこたえて、もう一度母の顔を見上げた。 「母さん・・・」 ただ静かに微笑んでいる。 あの頃と変わらない微笑み。 でも、これは本当じゃない。 本当の母さんは・・・・・、 「死んだんだ・・・」 つぶやき、その自分の言葉に涙が溢れてくる。 そんなシンジを優しく微笑みながら包み込み、母の輪郭は段々とぼやけて・・・・・、消えていった。 この場所に残され、今消えていった母の想いがシンジの中に沁み込んでくる。 純粋に子を想う母の気持ち。 そして、科学者としての母の願い。 シンジの手の中には、消えずに残った母の心が光の玉となって輝いていた。 続く |